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《○○賞という魔法》運と期待の「くじ」展開:『葬送のフリーレン』の「WEBくじ」・「シールくじびき」という新たなエンタメ

フィギュア・グッズ

はじめに:『葬送のフリーレン』、運と期待の世界へ

原作漫画、そしてTVアニメの大ヒットにより、社会現象ともいえる人気を博している『葬送のフリーレン』。その静謐でありながらも心を揺さぶる物語は、多くのファンの心を掴み、キャラクターグッズの世界にも大きなうねりを生み出しています。

数多あるグッズ展開の中でも、特にファンの心を熱くさせるのが

「くじ」

という存在です。

これは単なる商品購入とは一線を画す、運と期待が交錯する日本独自のエンターテインメント文化といえるでしょう。

多くのファンが人気作品のグッズ展開として真っ先に思い浮かべるのは、おそらくBANDAI SPIRITSが手掛ける「一番くじ」ではないでしょうか。

しかし、『葬送のフリーレン』のくじ展開は、これまで一味違った、非常に興味深い道筋を辿ってきました。

その中心にあるのが、オンラインで楽しめる「WEBくじ」や、作品の世界観を巧みに表現したユニークな形式のくじです。

当記事では、これまでに展開された『葬送のフリーレン』のくじを時系列で整理し、その全貌を徹底的に解説します。

第1章:「一番くじ」と「WEBくじ」 – その魅力と仕組みの徹底解説 –

『葬送のフリーレン』のくじ展開を深く理解するためには、まず「一番くじ」と「WEBくじ」という二つのシステムの特性を知ることが不可欠です。それぞれが持つ独自の魅力と仕組みを解説します。

1.1 店頭で引く高揚感:「一番くじ」とは

「一番くじ」とは、株式会社BANDAI SPIRITS(旧バンプレスト)が2003年から展開している、オリジナルグッズが当たるキャラクターくじの代名詞です。

最大の特徴は「ハズレなし」という点にあり、くじを引けば必ず何かしらの景品が手に入ります。

全国のコンビニエンスストアや書店、ホビーショップといった身近な店舗で販売されており、その場でくじ券をめくる高揚感は、多くのファンにとって特別な体験となっています。

さらに、「一番くじ」の魅力を高めているのが、二つの特別な賞の存在です。

ラストワン賞:

店舗で最後のくじ券を引いた購入者に贈られる特別な景品です。A賞などの上位賞とは異なる仕様のアイテムであることが多く、これを狙って残りのくじをすべて買い占めるファンもいるほど、高い人気を誇ります。

ダブルチャンスキャンペーン:

購入したくじ券に記載されたキャンペーンナンバーを専用サイトで入力することで、再度抽選に参加できる仕組みです。当選者には上位賞やラストワン賞と同等、あるいは特別な仕様の景品が贈られ、一度くじを引いた後も楽しみが続く仕掛けとなっています。

1.2 いつでも、どこでも:「WEBくじ」の利便性

一方、「WEBくじ」は、その名の通り、スマートフォンやPCからインターネットを通じて購入できるオンライン形式のくじサービスです。

物理店舗に足を運ぶ必要がなく、24時間いつでもどこでも挑戦できる手軽さが最大の魅力です。

当選した景品は後日自宅へ配送されるため、ECサイトの利便性とくじのエンターテインメント性が融合した新しい販売形態として注目されています。

「一番くじ」が単一のブランドであるのに対し、「WEBくじ」は様々な企業が提供するサービスモデルの総称です。

『葬送のフリーレン』のWEBくじは、株式会社ディ・テクノが運営するプラットフォームで展開されています。WEBくじには、独自の魅力的なシステムが備わっています。

購入特典:

一度の注文で指定された枚数(例:5枚)を購入するごとに、限定の特典(例:コースター)がもれなくプレゼントされるといったキャンペーンが頻繁に実施されます。

ラストWIN賞:

一番くじの「ラストワン賞」に相当するもので、オンライン上の1ボックス(くじ一式)の最後の1枚を購入した人に贈られる特別な景品です。

送料:

一般的に、各くじタイトルの初回注文時にのみ送料が発生し、同タイトルでの2回目以降の注文は送料無料となるシステムが採用されています。

ここで注目すべきは、『葬送のフリーレン』のグッズ戦略です。

これまで、フィギュアが目玉となることが多い「一番くじ」ではなく、意図的に「WEBくじ」を中心に展開してきました。

この背景には、市場の状況を巧みに読んだ戦略が見え隠れします。

現在、BANDAI SPIRITS(バンプレストブランド)やセガプライズからは、ゲームセンターの景品として非常にクオリティの高い『葬送のフリーレン』のフィギュアが多数、かつ継続的にリリースされています。

もしここでフィギュアをメインに据えた「一番くじ」を発売すれば、自社グループ内で製品が競合し、市場の共食いを引き起こしかねません。

そこで、WEBくじというプラットフォームを活用し、フィギュアとは異なるベクトルの、描き下ろしイラストを活かしたビジュアルパネルや生活雑貨といったグッズを展開することで、プライズフィギュア市場とは別に、もう一つの確固たる収益の柱を築いているのです。

これは、作品のファン層に多角的にアプローチし、全体の売上を最大化するための、極めて計算された戦略といえるでしょう。

第2章:『葬送のフリーレン』くじの軌跡 – 全ラインナップと時系列 –

ここからは、これまでに発売された『葬送のフリーレン』のくじの歴史を、一つひとつ詳細に紐解いていきます。各くじの販売期間、価格、そしてファンを魅了した全景品のラインナップをご紹介します。

2.1 最初の冒険:「葬送のフリーレン WEBくじ」(2023年12月)

アニメ放送開始後の熱気が高まる中で発売された、記念すべき初の本格的なくじです。描き下ろしの花冠イラストが大きな話題を呼びました。

  • 販売期間: 2023年12月23日 ~ 2024年2月13日
  • 販売価格: 1回 750円(税込)
  • 景品ラインナップ:
景品名種類数詳細
A賞BIGバスタオル全1種描き下ろし集合イラストを使用した、H600mm × W1200mmの特大タオル。
B賞マルチBOX全2種折りたたみ可能な収納ボックス。フリーレンとフェルン、ヒンメルとシュタルクのデザイン。
C賞A3ビジュアルパネル全3種描き下ろしイラストをマット加工で美麗に仕上げた厚紙パネル。フリーレン、フェルン、シュタルク。
D賞ナチュラルボウル全3種天然木を使用したお椀。キャラクターのアイコンがデザインされている。
E賞アクリルスタンド全3種描き下ろしイラストを使用した、高さ約150mmのアクリルスタンド。
F賞キーホルダーコレクション全8種木製キーホルダーとスタンプ風アクリルキーホルダーのセット。描き起こしミニキャラも登場。
G賞クリアファイル&ステッカーセット全6種A4クリアファイルと、全18種の場面写ステッカーがランダムで1枚封入されたセット。
H賞缶バッジ&しおりセット全9種直径57mmの缶バッジとクリア素材のしおりのセット。
ラストWIN賞特大アクリルスタンド全3種高さ約250mmの超特大アクリルスタンド。オンラインと店頭で景品仕様が異なる。
購入特典コースター全14種オンラインで5枚購入ごとにランダムで1枚プレゼント。
モアチャン!アクリルパネル全1種購入者を対象に抽選で10名に当たる描き下ろし集合イラストのアクリルパネル。

2.2 魔法のような一品:「シールくじびき」 – 封筒からシールが出てくる魔法 – (2024年10月)

WEBくじとは異なる、ユニークな販売形態で登場したのがこの「シールくじびき」です。原作漫画の魅力を凝縮した、ファン垂涎のアイテムとなりました。

・販売期間: 2024年10月11日より発売

・販売価格: 1回 660円(税込)

・特徴的な販売方法:

書店などの店頭に設置された宝箱型のケースから、購入者が好きな封筒を直接選び、レジに持っていくという、作品の世界観に没入できる演出がなされました。

景品ラインナップ(全8種):

景品はアニメの描き下ろしイラストではなく、原作漫画のコマをテーマ別に再構成したビッグサイズのシール(新書判×2枚分)です。

  • ヒンメルいっぱい
  • いろいろな魔法
  • 師匠の背中
  • 光陰 矢の如し
  • 魔族と魔物と……
  • 眠れる者、目覚める者、眠れない者
  • 旅での一期一会
  • シークレット

この「シールくじびき」は、WEBくじとは明確に異なるターゲット層を狙った商品企画であることがうかがえます。

景品の素材が原作漫画のコマそのものであること、

そして「師匠の背中」「ヒンメルいっぱい」といったテーマ設定は、

物語の文脈やキャラクター間の深い関係性を読み込んでいる熱心な原作ファンにこそ強く響くものです。

750円のWEBくじよりも手頃な660円という価格設定と、コレクションしやすい紙製品というフォーマットは、より気軽に、そして頻繁に購入してもらうことを意図したものでしょう。

プレミアムな描き下ろしグッズであるWEBくじに対し、こちらは作品への深い愛情を持つファンに向けた、物語性を味わう「おやつ」のようなコレクターズアイテムと位置づけられます。

2.3 新たなる旅路へ:「葬送のフリーレン WEBくじ 第2弾」(2024年12月)

第1弾の好評を受け、満を持して登場した第2弾。新たな描き下ろしイラストと共に、キャラクターラインナップも拡充され、さらにパワーアップした内容となりました。

  • 販売期間: 2024年12月21日 ~ 2025年2月12日
  • 販売価格: 1回 750円(税込)
  • 景品ラインナップ:
景品名種類数詳細
A賞スクエアクッション全2種フリーレン&ヒンメル、フェルン&シュタルクの描き下ろしイラストが両面にデザインされたクッション。
B賞A3ビジュアルパネル全4種フリーレン、フェルン、シュタルク、ヒンメルの個別の描き下ろしイラストを使用した美麗パネル。
C賞フラットポーチ全4種描き下ろしイラストを使用した普段使いしやすいポーチ。
D賞アクリルスタンド全4種描き下ろしイラストを使用したアクリルスタンド。
E賞アクリルキーホルダー全5種描き起こしミニキャライラストを使用したキーホルダー。アウラやユーベルも登場。
F賞フタのるマスコット全10種カップ麺などのフタに乗せられるミニフィギュア。アウラやユーベルなどもラインナップ。
G賞クリアファイルセット全5種描き下ろしイラストやミニキャラを使用したA4クリアファイル2枚セット。
H賞缶バッジ&ステッカーセット全14種直径57mmの缶バッジとダイカットステッカーのセット。
ラストWIN賞オンライン限定: 特大アクリルスタンド 店頭限定: A3ビジュアルパネル/集合全4種 全1種オンラインは4人から選べる特大アクスタ。店頭は描き下ろし集合イラストのパネル。
購入特典コースター全9種オンラインで5枚購入ごとにランダムで1枚プレゼント。
モアチャン!アクリルパネル全1種購入者を対象に抽選で10名に当たる描き下ろし集合イラストのアクリルパネル。

第2弾のラインナップは、アニメの物語の進行とファンの需要を見事に反映しています。

特に、強烈な印象を残したアウラ

一級魔法使い試験編ユーベルといったキャラクターが

下位賞に加わったことは、ファン層の拡大と満足度向上に大きく貢献しています。

また、オンラインと店頭で「ラストWIN賞」の景品を異なるものに設定した点は、販売戦略として非常に巧みです。

オンラインでは「好きなキャラクターを選べる特大アクリルスタンド」

店頭では「集合イラストのA3ビジュアルパネル」と、

どちらも甲乙つけがたい魅力的な景品を用意することで、熱心なコレクターに両方での購入を促す効果があります。

これにより、どちらか一方の販売チャネルに顧客が偏ることを防ぎ、全体の売上を最大化する狙いがあると考えられます。

第3章:ファンの声 – 購入体験と反響 –

『葬送のフリーレン』のくじは、ファンコミュニティに様々なドラマと感動を生み出してきました。ここでは、実際にくじを購入したファンから寄せられた、いくつかの代表的な声を紹介します。

感想1:開封の儀の悲喜こもごも

くじの醍醐味は、何と言っても

景品を開封する瞬間

にあります。

あるファンの開封動画では、その感情の揺れ動きが見事に捉えられていました。

クリアファイルを引き当てた際には

「美しいフリーレン!うわあ背景かっこいい!」

と純粋な喜びを爆発させる一方で、

立て続けに同じキャラクターの景品が出ると

「まさかのフリーレンかぶり…フェルンがカブり嘘だろうショックすぎる」

と天を仰ぎます。

お目当ての景品が当たった時の歓喜と、重複(ダブり)に見舞われた時の落胆

この悲喜こもごもは、くじに挑戦したすべてのファンが共有する、一種の儀式であり、コミュニティの連帯感を育む要素にもなっています。

感想2:景品のクオリティとコレクションの喜び

『葬送のフリーレン』のWEBくじは、フィギュアがなくとも、その景品の質の高さでファンを満足させています。

特にC賞の「A3ビジュアルパネル」は、公式に「美麗な印刷にマット加工を施し、高級感ある仕上がりに」と謳われる通り、イラストの魅力を最大限に引き出した逸品です。

また、ファンは単にキャラクターが描かれているだけでなく、作品の象徴的なシーンがグッズ化されることに大きな価値を見出しています。

例えば、フリーレンがミミック(宝箱の魔物)に食べられるシーンを再現したキーホルダーについて、あるファンは

「このシーンをね、このキーホルダーにしてくれるっていうのは素晴らしい!」

と絶賛しました。

作品への深い理解と愛情が感じられる商品企画こそが、ファンの心を掴んで離さないのです。

感想3:次なる展開への期待 -「一番くじ」への熱望 –

ファンコミュニティで一際強く聞かれるのが、本格的なフィギュアをラインナップした

「一番くじ」の発売

を熱望する声です。

あるファンの、

「葬送のフリーレン一番くじ化を熱望していますが、プライズでこのクオリティーを出されると、一番くじフィギュアをマスターライズクラスにしないと、くじ引く意味が無くなる」

というコメントは、現在の状況を的確に言い表しています。

この発言は、ファンがゲームセンターのプライズフィギュアの品質の高さを十分に認識しており、それを超える「MASTERLISE」シリーズのような最高品質のフィギュアでなければ、高価格帯のくじに挑戦する価値はないと考えていることを示唆しています。

これは単なる要望ではなく、市場を熟知したファンからの、

メーカーに対する高い期待と挑戦状

ともいえるでしょう。

感想4:ファンコミュニティと二次流通

くじのランダム性という性質は、

活発な二次流通市場とファン同士の交換文化を育みました。

お目当ての景品が手に入らなかったり、逆に重複してしまったりした場合、多くのファンはメルカリやYahoo!オークションといったフリマアプリや、SNSを利用して、特定の景品の売買や交換を行います。

そこには、B賞のパネルからH賞の缶バッジに至るまで、あらゆる景品が出品されています。

このエコシステムは、単なる金銭的な取引の場ではありません。くじという「ガチャ」の課題を、ファン同士の協力によって解決し、全員が満足できるコレクションを完成させるための、共同体的な営みとなっているのです。

まとめ:これからの『葬送のフリーレン』くじ

『葬送のフリーレン』のくじ展開は、ここまでWEBくじを主軸に、描き下ろしイラストを活かした生活雑貨やコレクションアイテムでファンを魅了してきました。

これは、活況を呈するプライズフィギュア市場との共存を図る、巧みな戦略の現れといえます。

TVアニメ第2期の制作も発表され、物語は新たな局面へと向かいます。これに伴い、作品への注目度とグッズへの需要は、今後さらに高まっていくことは間違いありません。

果たして、制作陣はこれまでの成功体験を基に、「WEBくじ」という路線を継続し、新たなキャラクターや物語を反映させたラインナップで我々を驚かせてくれるのでしょうか。

それとも、ファンが待ち望んでやまない、プライズの品質を凌駕する「マスターライズクラス」のフィギュアを引っ提げた、本格的な「一番くじ」がついにそのベールを脱ぐのでしょうか。

フリーレンたちの旅路がそうであるように、『葬送のフリーレン』のくじがこれから歩む道もまた、予測不能な、心躍る可能性に満ちています。

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