はじめに:熱狂の「一級魔法使い試験編」 ― 未だ冷め止まぬ人気熱
アニメ『葬送のフリーレン』が、その静謐(せいひつ)で叙情的な旅路とは異なる、新たな熱狂をファンコミュニティに巻き起こしました。
それが、物語の大きな転換点となった「一級魔法使い試験編」です。
これまでフリーレンの過去と現在が交錯する内省的な物語が中心だった本作は、このアークにおいて「トーナメントアーク」という新たな側面を提示しました。
多くの実力ある魔法使いが一堂に会し、それぞれの矜持(きょうじ)と魔法をぶつけ合う展開は、一部の古参のファンからは「作風が変わった」という戸惑いの声も聞かれた一方で、結果として「信じられないほど多くの、好感の持てるキャラクターたち」を作品世界に導入する起爆剤となりました。
フリーレンとフェルンという二人の圧倒的な主人公を除外してもなお、これほどまでにファンコミュニティが活気づくのはなぜでしょうか。
その答えは、この「試験」という環境が、視聴者に対して「誰が強いのか」、「誰の魔法がユニークか」、「誰の哲学が正しいか」という“強制的な比較”を促した点にあります。
この比較と競争の環境こそが、デンケン、ユーベル、ヴィアベルといった個性の強いキャラクターたちを「推し」として際立たせ、ファンダムの議論を爆発的に活性化させる触媒として機能したと分析できます。
当記事は、葬送のフリーレン公式X様やアニメ公式X様のアカウントに寄せられたコメントや、各種SNSでの言及数、ファンサイトやYouTubeでの議論を総合的に分析し、「強さ」のランキングとは一線を画し、純粋なキャラクターの「魅力」と「ファンの熱狂」に基づき、二次試験に進出した18名から7名を独自に選定したものです。
本編:一級魔法使い試験・二次試験進出者 人気ランキング「TOP7」
第7位:ラヴィーネ(CV: 鈴代紗弓)

キャッチコピー:『不器用な優しさの氷結魔法使い。カンネの「相棒」として放つ尊い輝き』
キャラクター紹介と作中の活躍
一級魔法使い試験の受験者である三級魔法使いです。口調は荒いですが、根は面倒見がよく、まさに「アネゴ肌」という言葉が似あう女性です。
同じく受験者であるカンネとは幼馴染で、同じ魔法学校の出身。魔法の特性としても、カンネが操る「水を操る魔法」をラヴィーネが「水を凍らせる魔法」でサポートするなど、公私にわたるパートナーです。
戦闘では、鋭く尖った形の氷を複数生み出して相手に放つ「氷の矢を放つ魔法(ネフティーア)」を使用します。
第一次試験では、フリーレンの的確な助言を受け、カンネとの完璧な連携でシュティレ(鳥)の捕獲に成功。第二次試験「零落の王墓」でも、カンネと共に行動し、その絆の強さを見せつけました。
人気の理由とファンの分析
ラヴィーネの魅力は、その「ツンデレ」とも取れる不器用な優しさにあります。
気弱なカンネに対しては常に厳しく、時に突き放すような言葉を投げかけますが、それは誰よりもカンネの才能と内面の強さを信じているからに他なりません。
彼女の人気は、単体で成立しているというよりも、カンネとの「二人で一つ」の関係性によって強固なものとなっています。
『葬送のフリーレン』という作品において、師弟(フリーレンとフェルン)や仲間(勇者一行)といった「関係性」は非常に重要なテーマです。ラヴィーネとカンネは、魔法の特性(水と氷)においても、性格(強気と弱気)においても完全な補完関係にあり、この試験編における「関係性の尊さ」の象徴となりました。
ファンは彼女たちを個別に評価するというより、「ラヴィーネとカンネ」という一つの「ユニット」として推しており、これが他の単独キャラクターにはない強固な人気基盤を形成しています。
【ファンの声】
- 「口は悪いけど、絶対カンネのこと大好きだよね。ラヴィーネみたいな友達が本気で欲しい。アネゴ肌、最高。」
- 「一次試験でカンネと二人で魔法使うところ、最高だった。ああいう『二人で頑張る』って感じ、大好き。まさに『尊い』。」
- 「氷の矢を放つ魔法、普通にかっこいい。もっと戦闘シーンが見たかった!カンネと一緒ならもっと強いはず。」
第6位:カンネ(CV: 和氣あず未)

キャッチコピー:『臆病な天才肌の水使い。ラヴィーネと共に成長する「守りたい」笑顔』
キャラクター紹介と作中の活躍
ラヴィーネと同じく三級魔法使いの受験者。内向的で気弱な性格をしており、プレッシャーに弱くすぐに涙ぐんでしまう場面が多く見られました。
しかし、その魔法の才能は本物です。
「水を操る魔法」を得意とし、第一次試験ではフリーレンから「とんでもない量の水を操れる」と評されるほどのポテンシャルを秘めていることが明かされました。
ラヴィーネの厳しい叱咤激励に落ち込むことも多いですが、心の底ではラヴィーネを絶対的に信頼しており、彼女の言葉に背中を押されてこそ、最大の力を発揮できるタイプです。
人気の理由とファンの分析
カンネの魅力は、その「健気さ」と「ギャップ」にあります。
普段はオドオドしている彼女が、ラヴィーネという支えを得た時に見せる強大な魔法の才能。その姿は、視聴者の「守りたい」「応援したい」という庇護欲を強く刺激します。
ラヴィーネが「強さ」を外面に出すタイプであるのに対し、カンネは「弱さ」と「強大な才能」を内面に併せ持つタイプです。この対照的な二人が補完し合うことで、お互いの魅力が最大限に引き立てられています。
ラヴィーネがカンネを支え、カンネがラヴィーネの優しさを引き出す。この「ペアリング」による人気の相乗効果によって、カンネは多くのファンから愛されるキャラクターとなりました。
【ファンの声】
- 「カンネちゃん、泣き虫だけど頑張り屋で本当に可愛い。ラヴィーネとのコンビ、永遠に見ていたい。」
- 「フリーレンがカンネの才能を見抜くシーンが好き。あんなに大量の水を操れるなんて、実はとんでもない天才なのでは?」
- 「ラヴィーネに怒られてシュンとしてるカンネが、もはや癒し。あの二人の関係性が作品の清涼剤になっている。」
第5位:ラント(CV: 小松昌平)

キャッチコピー:『クールな傍観者にして幻影の策士。「メガネ君」と呼ばれたミステリアスな実力者』
キャラクター紹介と作中の活躍
二級魔法使いの受験者。クールな性格で他人を信用せず、集団行動を嫌う不愛想な青年です。
彼の真骨頂は「幻影魔法」。
第一次試験から一貫して、彼は精巧な自分の「分身」のみを試験に参加させていました。そして第二次試験「零落の王墓」では、受験者たちがダンジョンの最深部を目指して死闘を繰り広げる中、ラントの「分身」は早々にパーティから離脱。
しかし、試験終了後、彼は合格者として姿を現します。
彼の本体は故郷の村から一歩も出ておらず、「分身」を使ってダンジョン構造を把握し、ゼンゼの「複製体」の存在も突き止めていたのです。この「ダンジョンにすら入らずに攻略する」という離れ業は、試験官のゼンゼにしか見破れませんでした。
人気の理由とファンの分析
ラントの人気は、その「特異性」と「ミステリアスさ」にあります。
二次試験の参加者の中で、熱い戦いを繰り広げるデンケンやヴィアベルとは対極に、一切のリスクを排除した「傍観者」の立場を取りました。
この「戦わない強さ」という底知れなさが、ファンの憶測を呼びました。
さらに彼の人気を決定づけたのが、危険な受験者であるユーベルとの化学反応です。ユーベルは「共感」を求めて彼に興味を持ち、執拗に「メガネ君」と呼んで追いかけ回しました。
ラントの「一切の情熱を見せないクールな合理主義」という強固なスタイルと、それをこじ開けようとするユーベルという「予測不可能な変数(カオス)」の組み合わせ。
「合理 vs 混沌」という緊張感あふれる構図が、ファンの想像力を強く刺激し、カルト的な人気を獲得するに至りました。
【ファンの声】
- 「二次試験、本体は村にいましたってオチ、衝撃的すぎた。最強の“合理的”キャラ。誰も死なせないし、自分も安全。」
- 「ユーベルに『メガネ君』って呼ばれてる時の、あの面倒くさそうな顔が好き。あの二人、どう見ても正反対なのに。」
- 「ユーベルから逃げ切れるのか、それとも分身魔法をコピーされるのか…この二人の未来が一番気になる。スピンオフ希望。」
第4位:メトーデ(CV: 上田麗奈)

キャッチコピー:『全てを見通す冷静なオールラウンダー。時折見せる「お姉さん」のギャップ』
キャラクター紹介と作中の活躍
一級魔法使い試験の受験者。常に冷静で落ち着いた性格の持ち主です。
戦闘では多彩な魔法を操るオールラウンダーであり、特に「拘束魔法」や「精神操作魔法」といったサポート系の魔法を得意とします。
第二次試験「零落の王墓」では、フェルンやラントの分身、デンケンたちと同じパーティになり、フリーレンの複製体との戦闘に臨みました。
絶望的な戦力差の中、彼女は的確な状況判断と多彩な魔法(回復、拘束)を駆使してパーティの危機を何度も救い、その有能さを証明しました。
人気の理由とファンの分析
メトーデの魅力は、その「圧倒的な包容力」と「有能さ」に集約されます。
いかなる窮地においても冷静さを失わず、仲間を的確にサポートする姿は、まさに「理想のお姉さん」あるいは「ママ」として、ファンから絶大な信頼と人気を集めています。
戦闘能力も非常に高く、フリーレンの複製体という規格外の存在を前にしても臆さず、パーティの生命線を担い続けました。
それでいて、「小さい女の子に目がない」という公式設定のギャップが、彼女の完璧さに愛らしい人間味を加えています。フェルンやラオフェンといった年下の魔法使いに向ける優しい眼差しは、多くのファンの心を掴みました。
【ファンの声】
- 「メトーデ様、美しくて強くて冷静で…まさに理想の女性。パーティに一人は欲しい、絶対的な安心感がすごい。」
- 「『小さい女の子に目がない』って設定、最高すぎませんか?フェルンやラオフェンを見てる時の優しい目が好き。」
- 「フリーレンの複製体との戦いで、的確にサポートと回復をこなす姿が有能すぎた。彼女こそ一級魔法使いの器。」
第3位:ヴィアベル(CV: 谷山紀章)

キャッチコピー:『戦場が育てた北の守護者。冷酷さと仲間想いを併せ持つ「戦う隊長」』
キャラクター紹介と作中の活躍
魔王軍の残党と戦い続けてきた「北部魔法隊」の隊長を務める、二級魔法使いです。
「見た者を拘束する魔法(ソルガニール)」という、実戦で磨き上げられた強力無比な魔法を使います。
彼にとって魔法とは、試験のためのものではなく、魔族と戦い、仲間を守るための「実戦の道具」に他なりません。そのため、人を殺すことも厭わない冷酷さを公言し、当初は非情な人物として登場しました。
しかし、第一次試験で脱落した仲間を気遣うなど、根は誰よりも仲間想いな一面も。第二次試験ではデンケンらと合流し、その的確な指揮能力と戦闘力でパーティを支えました。
人気の理由とファンの分析
ヴィアベルの人気は、その「プロフェッショナリズム」と「ギャップ」にあります。彼は試験を「遊びではない」と断じ、常に戦場の厳しさをもって物事を判断します。
彼が「試験」という特殊な環境に「実戦のリアリティ」を持ち込んだ存在であることは明らかです。彼の冷酷さは、彼が故郷の北部でくぐり抜けてきた戦場の過酷さの裏返しに過ぎません。
その「本物」の強さと覚悟、そしてその奥に秘めた仲間を思う優しさのギャップが、「大人の格好良さ」を求めるファン層に強く支持されています。
第一次試験でユーベルと対峙した際、彼女の危険性を一瞬で見抜きながらも、実力者としての余裕を持って「殺し合いは好きじゃない」と一蹴した姿は、彼の強さを象徴するシーンです。
【ファンの声】
- 「ヴィアベル隊長、マジでかっこいい。あの冷徹な目が、仲間(故郷の幼馴染)の話になると優しくなるの反則。」
- 「ユーベルのヤバさを一瞬で見抜いたヴィアベル、さすが戦場のプロ。この人の下で働きたい。『カッコ良すぎる』の声に同意。」
- 「ソルガニール、シンプルに強すぎ。谷山紀章さんの声も相まって、威圧感がすごい。北部の戦いをもっと知りたい。」
第2位:ユーベル(CV: 長谷川育美)

キャッチコピー:『予測不可能な「共感」の天才。その危うさがファンを惹きつけるカオティック・スリッパー』
キャラクター紹介と作中の活躍
常にうっすらとした笑みを浮かべる饒舌な三級魔法使い。しかし、その内面は常軌を逸しており、人を殺すことに一切の抵抗がありません。
彼女の使う「大体なんでも切る魔法(レイルザイデン)」は、防御魔法や物理的な防御すら(彼女の認識上)無視して対象を切断する恐ろしい魔法です。
さらに恐ろしいのが、「共感した相手の得意な魔法を使える能力」という規格外の才能。
彼女の行動原理はこの「共感」にありますが、そのハードルは常人とは著しく異なっています。第一次試験では、拘束魔法を使った試験官の魔法に「共感」してコピーし、脱出。第二次試験ではラントの分身魔法に興味を持ち、彼を「メガネ君」と呼んで執拗に追いかけ回しました。
人気の理由とファンの分析
ユーベルの人気は、その「危うい魅力」と「予測不可能性」に集約されます。海外の人気投票でも上位に食い込むなど、彼女の存在は世界中のファンに強烈な印象を与えました。
彼女は、一級魔法使い試験という「ルール」のある場所に投入された「ジョーカー(Joker)」です。
彼女の魔法「レイルザイデン」は、魔法の「防御」というルールを(彼女の認識上)無視します。
彼女の「共感コピー」は、努力や才能といった「習得」のルールを無視します。
そして彼女の「殺意」は、試験という「非殺傷」の建前を無視します。
視聴者は、彼女が次に何を切り裂き、何をコピーするのか、その予測不可能な「カオス」にこそ、他のキャラクターにはないスリルと魅力を感じているのです。
ラントを無邪気に追いかける姿は、その危険性とのギャップから、ファンの間で爆発的な人気となりました。
【ファンの声】
- 「ユーベル、ヤバい。ヤバいけど、目が離せない。あのフワフワした喋り方で平気で人を殺そうとするのが怖すぎる。」
- 「『共感』で魔法が使えるって、チートすぎ。ラントの分身魔法までコピーしたらどうなっちゃうの?底が知れない。」
- 「メガネ君(ラント)とのコンビ、最高。あの二人のスピンオフが読みたい。完全に捕食者と草食動物。」
第1位:デンケン(CV: 斉藤次郎)

キャッチコピー:『老練な宮廷魔法使いにして、熱き魂を持つ「戦士」。『殴り合い』を望んだ最強のイケオジ』
キャラクター紹介と作中の活躍
権力争いの末に宮廷魔法使いの座に上り詰めた、老練な二級魔法使いです。
その実力は一級魔法使いに遜色がなく、「竜巻を起こす魔法(ヴァルドゴーゼ)」や「風を業火に変える魔法(ダオスドルグ)」など、多彩で強力な魔法を操ります。
第一次試験では、フリーレンの圧倒的な魔力を前にしながらも、仲間と共に最後まで抗い続け、その誇り高い戦いぶりはフリーレンに「老いぼれ」と評されつつも賞賛されました。
第一次試験の終了が迫る中、パーティのリーダーとして若者(ラオフェン、リヒター)を導き、シュティレ捕獲の為の死闘に臨みます。仲間と同じく魔力を使い果たした彼は、魔法使いの矜持を捨て、絶望的な状況を打開するために叫びました。
「殴り合いじゃぁッ!」と。
この魔法使いらしからぬ肉弾戦での勝利は、今試験編最大の名場面となりました。
人気の理由とファンの分析
デンケンは、今回の試験編において「最も評価が変わった」キャラクターであり、そのギャップが彼を圧倒的な人気No.1に押し上げました。公式Xの投票などでも、彼の人気はフリーレンやフェルンに迫る勢いを見せています。
当初は「権力に固執する嫌味な老人」という印象でしたが、物語が進むにつれ、彼が誰よりも誇り高く、仲間想いで、そして「戦い」を愛する熱い魂の持ち主であることが明らかになりました。
デンケンの魅力の根源は、「老いた肉体」と「燃え盛る魂」というアンビバレンス(二律背反)にあります。
「老獪な政治家」でありながら「血気盛んな戦士」でもある、この「老い」と「情熱」の共存こそが、彼を単なる「強い老人キャラ」を超えた、人間味あふれる「最高のイケオジ」として輝かせているのです。
【ファンの声】
- 「デンケン様、最高です。最初は嫌な奴かと思ったのに、フリーレンとの戦い、そして『殴り合いじゃぁッ!』で完全に惚れた。」
- 「ラオフェンとリヒターを導くリーダーシップが完璧。こんな上司の下で働きたい。理想の上司すぎる。」
- 「フリーレンを相手に、全く諦めない姿が格好良かった。彼こそが真の『魔法使い』であり『戦士』だ。」
まとめ:個々の「生き様」の交錯 ― 「一級魔法使い試験編」がファンに残したもの

今回の人気ランキングを振り返ると、トップ3(1位デンケン、2位ユーベル、3位ヴィアベル)に共通するのは、「確立された強固な生き様(スタイル)」を持っていることでした。
老練な実力と熱い魂(デンケン)、
ルール無用の混沌(ユーベル)、
戦場のリアリズム(ヴィアベル)。
彼らの譲れない哲学が、フリーレンやフェルンという「規格外」の存在とぶつかり合うことで、鮮烈な火花を散らしました。
「一級魔法使い試験編」は、単なるトーナメントアークではなく、「魔法とは何か」「強さとは何か」「どう生きるか」を問う、多様な魔法使いの「生き様」と「矜持」を描いた群像劇でした。
視聴者は、この試験を通じて「自分なら誰を推すか」を問われ、それがSNSなどでの活発な議論に繋がりました。
フリーレンとフェルンが不在でも(あるいは、彼女たちがいるからこそ)、これほどまでに豊かな物語が生まれる。
それこそが『葬送のフリーレン』という作品の底知れない魅力の証左と言えるでしょう。



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